2022年になりました。この冬は寒いですね。
写真は秋に撮った自然農に切り替えた畑です。
春日は特に寒くマイナス10℃の最低気温やマイナス3℃の最高気温の日もありました。
風ノ畑の農業は多くの方々の協力を得て無事に1年目を終えました。
振り返ると、4月から畑作業が始まり、5月6月と主作物のズッキーニの栽培期間を経て7月8月9月は主に収穫と出荷の日々。
収穫が始まると休日は無く、予定を開けても半日程度、忙しい日々でも畑作業は癒しになって、いろんなことを考えたり、何も考えなかったり。
出荷先はJAです。
いいイメージがない人も多い農協ですが、新規就農で売り先が少ない農家にとってはとても簡単で便利。
無農薬の野菜が慣行(農薬化学肥料を使用する一般的な栽培方法)の野菜に紛れて売られてしまうのは不本意ではありますがJAがメインでした。
理想を言えば無農薬の野菜を求めているところに鮮度のいい商品を直送したい、それもズッキーニなら一本100円程度。
ちなみに農家として関わってみて農協は、保身第一で太りすぎた謎の組織ってところでした。
JAが主な出荷先でしたが、他の売り方もできました。
YouTubeやポッドキャストなど、今や農家や一般人が番組を配信してくれています。
価値あるものがネット上で無料で見られる。moteで考えていたネットワークに近い形が最速な方法で既に広まっています。
今年よく視聴したものでキーワードだけ並べると、「自然農」「果樹」「稲作」「薪ストーブ」「堆肥」「新規就農」など、ほとんど農に関わることでした。
きっかけの順番はどうであれ、これらの影響もあり風ノ畑は、今年から自然農の畑、米作り、果樹栽培を本格的に、一部試験的に開始します。
また、有機農業を地域資源で続けるための堆肥作りも農作業に組み込みます。
フィリピンで目指した農畜混合型や次世代につなげていくことはまだ先の話です。
自然農
「島の自然農」というYou Tubeチャンネルがります。
川口由一さんの自然農を継承し、農家として実践されている方が動画を投稿しています。
自然農についてよくわかり、人や自然を深く考えさせてくれます。
わたしが昨年一番よくみたチャンネルです。
自然農の畑は、moteとしてこれまでフィリピンでやってきましたが、その理想の畑のあり方でした。
自然栽培、自然農法、炭素循環農法など色々な農法がありますが、場所や人が変われば条件に適したやり方も変わるのが自然に沿った農法です。
自然に沿う、従う、応じる、任せること。
これを農業として行うことはとても難しいことですが実際に動画では見ることができます。
一方、経済活動が重視された農業は自然を支配しようとします。
近視眼でそれが効率もいい農業と捉えます。しかし実際は、支配できないのが自然。対処療法でイタチごっこ。
効率的と言いながら大規模農業、慣行農業のエネルギーコスト、土壌浸出、水質汚染、肥料資材コスト、廃棄物コスト、輸送コスト、食品ロス、健康被害は無視できない。
最新の農業技術では害虫の天敵となる生物農薬というものもある(細菌や微生物、昆虫を畑に放つ。その後はどうなる?)。
あらゆるコストを長期的に見れば非効率。
同じ目的(食糧生産)でも考え方が違うとこうも差が出る。
自然農に話を戻すと、生産量は半減(物によりけり)し1人が管理できる面積も1/4(昨年の自分の畑なら)ほど。
それでいて作業時間は減るわけではない。
売り先は限定され市場には出しにくいのが現状。正直営農するには難しい。
それでも将来的には世界中で自然農のような農業が行われると思います。
これから農業をする人がどんな農業を選ぶか、今現在では有機農業が一番多いです。
耕さない、農薬・肥料を使わない、草や虫を敵としない。
この3つが自然農の原則としてあります。
これは制約ではなく、それが自然農の考え方にあうから。
つまり自然に沿うことになるからです。
自然に沿うとは自然に生きているいのちが生きているように生きること。
自然とは自ずから然らずむこと(おのずからしからずむ)。
時間の経過とともに変化していく体を持つ人間も自然の一部。
人は自分の意思で体の変化を止めることはできない。無意識に湧いてくる喜びや悲しみは、心も自然につながっているからなのかも。
自然農が宗教扱いされることもよくありますが、ある意味自然農は自然教とも言える。それであるなら化学信仰の農業も化学教といえる。
耕さないことでそこで死んだいのちが重なり、朽ち、やがて豊かな表土が形成される。
農薬肥料を使わないことであるべき循環を守り、いのちを損なわない。
草や虫を敵とせず、目的の作物を育てながらも他のいのちも尊重する。
これは理想論でもないし、非科学的でも懐古主義によるものでもない。
実際に行われているし、理にかなっているし、youtubeで配信されている。
食糧問題
だけどこんな小規模な農家ばかりになったら食べ物は足りなくなるのでは?
段階的にこのような小規模農家が増えたとして食べ物は足りなくならないと思う。私はそう思う。
土地が段階を経て豊かになり、現在荒廃し使われていない土地も使われ、広大な単一作物の畑も農家100人で分配。
水がない土地も植生が回復すれば徐々に水分を維持できる土に変わる。
農地は増え、年々生産量も向上。
質の悪い空虚な糧を工場のように生産してカロリーだけを計上している畑がどれほどあるか知らないが、そこで自然農のいのちの充実した作物を作り計上したらどれほどの命の糧になるか。
食べ物は足りても農家の経営は?
これも心配いらない。
貧困農家が破綻する原因は借金。
大型機械も資材もいらない自然農ではそれらのために金融経済に利益を払い続ける必要はない。
先の話でまだ公の組織が力を持っていたなら、水土空気健康に寄与する農家に手当でも出せば万が一でも破綻することはない。
以上、簡単に自然農についてでした。
寒い冬、灯油を焚きながら。(薪ストーブ欲しいなぁ)