ずいぶんゆっくりですが、私の滞在期間中にバボイの数は20頭を超えました。
野菜で言えば、ようやく種まきが終わったくらいでしょうか。
その間、失敗もありました。
最初の2頭は子を産むことなく手放したと聞きました、どうしても合わなかったようです。
その後再びトライ。
今度は子を産んだのですが、オスは凶暴で3人ほど噛まれたそうです。
そのオスはもういませんが、彼の血筋が続いています。
ニューベビー
これまでに現地メンバーは多くの経験とノウハウを得ました。
日本に比べたらフィリピンの人は家畜に接する機会は多いので、もともとの技術も高いですが。
今回もDr.アリエルは子豚の出産に立ち会い、7匹のベビーを介抱しました。
粘膜を取ってやり、すぐに乳を飲むように誘導します。
最初の1頭は立ち会えず、粘膜のついたまま死んでしまいました。
おそらくは原因は粘膜ではなく、直前に別の母ぶたがアタックしたダメージがお腹の赤ちゃんにいってしまったのだとDr.アリエルは言っていました。
そう、信じられないことですが、別の母ぶたが出産直前の母ぶたにアタックしたのです。
テラスの方でマンゴーでも食べていた時でしょうか、建物の裏側から数頭のバボイの怒号が聞こえてきました。
私はいつもの喧嘩かと思ってマンゴーを食べ続けます。
しかし、裏からDr.アリエルの怒りの声が。
自分の子供を引き連れた、例の母ぶたが走って逃げてきます。
状況を把握した、アリエル氏の息子たちは棒を手にとって例の母ぶたを追い回していました。
これについてDr.アリエルはジェラシーだと言っていました。
豚にも複雑な男女の関係図があるようです。
話は立ち会いに戻り、最初の死んでしまったベビーの次に産まれてきたベビー。
この子もダメージを受けていて、3日後に死んでしまいました。
あとの6匹は元気で問題なく1週間を過ごします。
そして不運なことに元気だった子豚の一頭が、寝返った母ぶたの下敷きになったのでしょう、足が開いた状態で死んでいました。
産まれたのは8頭、その中で生き残ったのは5頭でした。
サントトーマスの敷地内のフェンスが完成したあとだったので、10日とちょっとの期間は母ぶたとベビーたちでフェンス内を貸切。
今は入れ替わり、母ぶたベビーの親子はもともとあった小さなハウスにいる予定です。
ニューフェイス
バンコンカホイへ行った時の話。
ディオンさんからバボイについて提案が。
バンコンカホイで育てているバボイとマイアスで育てているバボイを交換しようということでした。
来る前にちょうど、それができたらいいねとアリエル氏と話をしていたところなので快諾。
マイアスのバボイは体も大きく、性格は活発なものが多い気がします。
一方、バンコンカホイのバボイは体が細く、面長な顔立ちで性格も大人しい印象。
こちらの方がよりネイティブに近いそうです。
山に生息する種類で、最初の親豚はかなり高かったそうです。
しかし体が細いのは気になります。
Dr.アリエルが言うにはワイルドリーブス(勝手に生えている草)が足りないと言うことでした。
実際、バボイが好む草を集めて与えると、最初警戒していましたが、その後喜んで食べていました。
野菜クズでは補えないものがあるようです。
話ついでに、我々がバボイにいつも与える餌とは別に食べるものがいくつかあります。
一つは灰です。
調理用のガスが切れた時や、大人数の料理をするときに外で薪を組んで調理をするのですが、そのあと残った炭も灰も食べます。
ヤギも食べるようです。
バカな奴は調理中の燃えている木まで食べようします。
誰かが見ていないと危険です。
火傷するというのもそうですが、鍋もひっくり返されてしまうでしょう。
もう一つは薬草。
これはDr.アリエルが症状を見て与えます。
グワヴァの実や葉、ブラックベリーの実や葉、その他。
基本的にフィリピンの人は薬草や果実の効能に詳しいです。
小さい時から慣れ親しんでいるのでしょう、羨ましい限りです。
もう一つは昆虫。
偶然、目にすることができたのですが雨上がりのある夜に羽蟻が大量発生した日がありました。
名前は忘れてしまったのですが、大きめの羽を持つ大きなアリです。
油断してドアを開けた状態でおしゃべりしていたら、部屋の灯りに誘われ、電気の周りに大群が。
話がいいところだったので気にしないように、しばらく無視していましたが顔にぶつかってきた頃にエクスキューズミーと言って立ち上がります。
ドアを閉めようとすると夜なのにバボイがブヒブヒ言っていました。
気になって見てみると地面に向かってブヒブヒ。
大量発生のときを知って、ハネアリ食べ放題フィーバーしているようです。
話を聞くと栄養豊富で人もこのハネアリを食べるそうです。
まだ時々食べるものがあるかもしれませんがこれくらいにしておきます。
バンコンカホイから帰る朝、ニューフェイス君をいただき連れて帰ります。
その日はサントトーマスで一時的に保管、翌日ビロッグビロッグへ運びます。
しかしここでもトラブルが起こります。
まずこの時のサントトーマスの拠点、敷地内の状況を説明します。
フェンス内は母ぶたとニューベビーの貸切。
フェンス外はその他のバボイ、ゴート、ドック、チキンたちがごちゃごちゃしている。
そのフェンス外のある場所にもともとあるコンクリの小さなバボイハウスがあり、そこにニューフェイスを移しました。
(現在、ここに母ぶたニューベビーの親子がいます。)
このバボイハウスはビロッグビロッグのバボイハウスのようにコンクリで4面壁ではなく、一面だけ低くなっていてその上部分を板で塞いでいる状態です。
この板を外にいた血の気の多い例の母ぶたが力ずくで外してくれて、ニューフェイス君が逃げ出してしまいました。
それだけならいいのですが、すぐにバトル。
長旅で疲れている上に、体も細い生後6ヶ月のニューフェイス君が例の母ぶたにかなうわけがありません。
散々やられてしまいます。
気づくと同時に我々も救出しようと追いかけっこ。
翌朝も逃げ出し、またバトル。
傷だらけでビロッグビロッグへ運び、すでに来ていた我々のバボイと顔合わせするもまたバトル。
もしかして我々のバボイはすごく扱いにくいのかもしれません。
結局ニューフェイス君は個室に入り、しばらくは療養。
ワイルドリーブスをたくさん食べて強くなってもらわないといけないようです。
豚屋として
増えるバボイの数に対して設備を整える必要はまだまだあります。
ビロッグビロッグは現在3部屋、すでに満室ですがおそらく来月には4から6匹ほど移動させるタイミングがきます。
バボイの計画です。
サントトーマスの拠点に4頭の母ぶたをキープ。
ビロッグビロッグの拠点に6頭の母ぶたをキープ。
母ぶたは時々入れ替えながら、キープします。
なるべくタイミングを合わせ一度にまとまった数を売るようにします。
おそらく、年に1から2回。
50頭から100頭。
その間、かかるコストは人件費を除くとエサ代のみ。
現在購入しているエサは、米ぬかです。
1袋840ペソほど。
これが月に4袋。
色々計算した結果、バボイ一頭出荷までにかかるエサ代は1500ペソ。
順調に大きくなりいい値段で売れたとして5000ペソ。
しっかり利益が出ます。
また、米ぬかに関しては自前で用意することを計画しています。
マカレロンのライスフィールドが現在準備中で、ここで出荷調整の際に出る米ぬかが我々のバボイに回ってくるという算段です。
ビロッグビロッグのバボイ設備の件についてです。
6頭の母ぶたをキープしたいので最低でも6部屋の個室が必要です。
さらにその他の育成中のバボイのスペースが必要です。
これはおそらく次回の現地入りの際のミッションになるでしょう。
あと1年経つ頃には、順調であればまとまった数を売りに出せるかもしれません。
それまではケチケチしながらも必要な設備を少しずつ整えていかなければなりません。
バボイはこれまでたくさんの方に支えられてきた重要なプロジェクトです。
まだ大波が来る気もしています、一つずつ乗り越えて行きます。
これからも随時報告していきますのでよろしくお願いします。
後日簡単な動画をあげようと思っていますのでお楽しみに。