記事「Covid-19」の続きを書きます。
最後に紹介した舩橋真俊さんの記事。個人的にはかなり共感できる内容で、目指している方向も近いような印象を受けました。
記事の中で、今後どうしたらいいのか考える上で参考にしたい部分をいくつか引用しました。参考にしながら書いていきます。
悪者を責めることではない。悪者が生まれないような環境へと状況全体をシフトすることなのだ。
従って、感染者やその他宿主となる生物との接触を避け、その他の多様な微生物を育む土壌環境を自らの免疫の正常化を増進する内堀として、またウイルスを始めとした様々な病原体に対する吸着・調整作用をする外堀として配置すること―これが、我々ができる範囲で生態学的に最も効果の望める感染症対策である。このような根本対策が実装可能な生活形態としては、地産地消かつ環境回復型の食料生産や複数の自然エネルギー源に支えられ、情報通信技術で繋がった地方分散型の居住形態があるだろう[4]。[4]舩橋真俊『メタ・メタボリズム 宣言』 南條史生 アカデミーヒルズ 編 森美術館 企画協力 『人は明日どう生きるのか――未来像の更新』NTT出版 発行 (2020) pp. 50-72
それまでの背景を無視して現在生じている問題だけを切り取って対症療法を推し進める文明に対しては、(典型的な wicked problem として)必然的に激症化するウイルスが発生して不安定性を増す方向に生態系は設計されているのだ。それはウイルスというスケールに限らず、サバクトビバッタなどが生育環境の生物多様性の低下と生息密度の増加によって群生相へと変異し、蝗害となって広大な農地を食い尽くす群動態の急激な変化のメカニズムとも数理的に共通している。
健全な表土と、それを相乗的に支える動植物の循環。それらを最低限の労力で高水準に保つための感染症や寄生生物の存在。それらのサイクルとバランスを人間の産業活動の根幹に取り戻す以外に、根本的な解決策は存在しない。
自然の摂理が地球上のあらゆるものを含めたバランスを正す方向に動くなら、ウィルスの発生は必然でありそれによって淘汰されても仕方がない。なぜなら原因を作ったのはウィルスではない。悪者が生まれる場を整えてしまった側に原因がある。
今必要な緊急対策を行うことも大事だが、その場をしのいで満足しているようでは人は知性のある生き物とは言えない。毎度のインフルエンザや風邪で、その場しのぎのワクチン、抗生物質で対処してきた人々は自分の免疫力を低下させて医療費を増大させてきた(経済的には優れたシステム)。そして今、薬の効かない新種のウィルスに立ち向かうすべもなく、嵐が去るのを待つことしかできない。
原因を作らないようにすることが根本的な解決につながる。
引用文にあるような根本対策ができて初めて一歩進むことができる。いきなり循環型農業を始められる人はほとんどいないし、そうなれば都市部ではコンクリートを剥がさなければならない。まずは自然をより身近なものにして、微生物の存在に気づいて欲しい。殺菌除菌の宣伝に無菌状態が理想だなんて愚かな勘違いはせずに、自分は菌と共生していてその数も種類も役割も人智を超えて遥か昔から受け継がれている事実に向き合ってもらいたい。
まとめ
マインドオブジアースで私がやりたいことは、「地球上に拠点を拡げながら、自由で豊かで他を真に尊重し、かつ持続して生きていける生き方を実践すること」です。その始まりが長野の拠点ならフィリピンの拠点、これまでの人生はその目標を見つけさせてくれた先生。
言葉だけではなく、やっと現場で活動できると思っていたところで移動が制限されるこの事態になりました。コロナからもらった時間と思って、もう少し言葉を並べさせていただきます。
このように進化のスケールで根本的な因果関係を含んだ解決法を無償で提供してくれている貴重な表土と海水。それらをつないでいるのは雨・地下水・河川・海洋をひとつなぎにする水循環である[5]。そのすべての過程を、最も重要な表土から順に破壊していっているのが、現在のモノカルチャー主体の農業であり、無計画な放牧による砂漠化である。[5] Funabashi M. “Water and Ecosystem Cycles Mediated by Plant Genetic Resources for Food and Agriculture” Genetic Diversity in Plant Species – Characterization and Conservation, Mohamed A. El-Esawi, IntechOpen, DOI: 10.5772/intechopen.79781. (2018)
引用文のように、自然循環、バランスを考えた上で重要な「土と水」。それをピンポイントで汚してしまうものの一つが過剰な肥料をまき猛毒な薬品を使う慣行農業でした(ここにも経済的には優れたシステムが存在します)。畑の横で嫌な匂いがしたら肥料の臭いか農薬のにおいです。発がん性から禁止された農薬はたくさんありますが、世界一基準のゆるい日本では未だに禁止されず流通しているものもあります。また、コロナ騒動の最中にもさらに規制緩和するようなツイートも見かけました。なぜそんなことをするか、世界中で禁止され在庫が余っているから日本に回ってきます。日本の大多数の政治家はそのレベルです。
ドラッグストアやホームセンターで簡単に手に入るそれらの薬品は、除草剤や殺虫剤として売られています。本来、一般人が使う必要のないものなのでそういうものを買うくらいなら、殺そうとした草や虫を眺めて命について思い返してください。
話が逸れてしまいましたが、続きはまた改めて書きます。
目標に到達するための、拠点の構想、デザイン。また、長野の拠点、マインドオブジアース春日の石川さんとの打ち合わせの内容なんかも小出しに書いていこうかと思います。